原尞先生の訃報に思うこと
原尞先生が亡くなった。
最近ブログは書いていないけど
原尞先生のことはやはり書き留めておきたい。
原尞先生といえば、私立探偵沢崎シリーズで
日本のハードボイルド小説を牽引してきた小説家。
このブログの「本読み日記」カテゴリーでも取り上げた。
沢崎は、両切りの煙草を吸うとか、
携帯電話は持たないとか、
外見的なスタイルもあるが
推察力、行動力、
物事の筋の通し方、
依頼人とのかかわり方などに
確固たるスタイルが貫かれていて
ウエットな所を見せず、むしろ突き放してくるのに
人間味を感じさせる魅力的な人物だった
西新宿には渡辺探偵事務所があり、
そこには沢崎がいると感じられるほど
血肉の通った人物像だった
原尞先生が亡くなり、
沢崎シリーズも終結ということになる。
失踪した元同僚・渡辺の話もきちんと完結しているし、
その後の沢崎の活躍も本(「それまでの明日」)が出ている。
もっと読みたいと思っていたけれど、
原尞先生ありがとうという気持ちだ。
沢崎はどうしているのだろう。
両切りの煙草を線香代わりにして弔いをしている気もするし
あっけなく、でも沢崎らしく、亡くなっている気もする。
清和会の橋爪や相良、新宿署の錦織も
電話サービスの女性も、
原尞先生の死を、沢崎の死を悼んでいる気がする。
沢崎シリーズを初めて読んだのは学生のころで
個々の作品を語るにはもう一度読み直さないと無理だけど
2019年に読んだ「それまでの明日」のラストに打ちのめされたのは
今も鮮明に覚えている。
世界は過酷で冷酷なんだと
突き放されたような、横っ面ひっぱたかれたような感覚。
あらためてすごい作家だと思う。
原先生、お慕い申し上げます。そしてご冥福をお祈りいたします。
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