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2004.11.19

「博士の愛した数式」小川洋子

読んでいてホッとする。
語り手である28歳の家政婦さんの視線が優しい。彼女の生活、仕事、考え方、すべてが丁寧で温かみを感じるのだ。

本屋さんが売りたい本のNo.1に選ばれたそうだが、なるほどと思う。書店員さんはやはり本好きの方が多いのだろう。小説が好きで、小説をよく読む人には大層好まれそうだ。
想像にまかせられる喜び、とでも言えばいいのだろうか。
博士と家政婦さん、
博士と未亡人、
博士の書き付けた数式の意味するところ、
博士の行く末、
きっちり説明されないところがいい。
おそらくロマンスも、親密な感情も、悲しみも、そして絶望も、あったに違いないのに、描かれているのは詮索しすぎない家政婦さんの優しい視線だけ。

私は私なりに想いを馳せる。永遠というものの実態、永遠を知覚する者が発する永遠の愛、それは絶望すら救うことが出来たのか・・・。そして人の優しさとは・・・。

いつしか私の想像も、おおらかな方向に働き始める。
本を読み終え閉じた後に、温かい気持ちで小説を反芻する。余韻にひたる。読書の喜びがこの本にはある。


****

そっれにしても、
1992年当時の28歳って、こんなに大人だったのか?!
未婚の母で、子供は10歳で、そりゃしっかりしちゃうのかもしれないけど、もう大人で大人で、本当に私より年下かよ?って感じです。
宮本輝の「ドナウの旅人」のマサコ29歳も、すっごい大人の女性で、「こんな女性になりたいわぁ」なんて30過ぎた私が感心してる場合か!でした。
その点、2003年に書かれた角田光代の「太陽と毒ぐも」に描かれている30手前の男女は言葉遣いも、生活も、すっごい学生っぽくて幼かった。多分、イマドキの30前後ってこんなもん。


博士の愛した数式
ドナウの旅人〈上〉新潮文庫
ドナウの旅人〈下〉新潮文庫
太陽と毒ぐも
太陽と毒ぐもの本読み日記はこちら

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