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2005.02.21

「GMO」 服部真澄

大好きな作家・服部真澄。その新作が2003年夏に出ていたとは知らなかった。何してたんだろ?私。

ミステリーであり、サスペンスの要素もあり、そして何より知的なエンターテイメントであるのが氏の作品群。
「龍の契り」では香港返還にからむ外交の闇、スパイの暗躍、ハリウッドの光と影を描き、
「鷲の驕り」では特許をめぐる壮絶なビジネス戦争を描き、
「ディールメーカー」ではM&Aや著作権を描いた。

そして常に根底に東西の価値の対立を捉えていた。

今のビジネス社会はおしなべて”西”のルールの上で競争をしている。
西のルールにのっとりつつ、西の陣営をはるかに凌ぐ力量と魅力を持つ東洋人が、服部真澄の小説ではいつもキーパーソンになっていた。そして彼(彼女)は問う。”西”のルールは完全か・・・・?と。

んでもって、今回は「GMO」遺伝子組み換え作物。
来たね。またしてもタイムリーな話題です。もうわくわくです。

ただし今回は、期待していた東西の対立は出てこなかったです。東西というよりも、人間が本能的に抱える野心に焦点が合わさっていたように思います。

これから読む人のためにこれ以上内容には触れまい。

でもよくわかったことがある。
遺伝子組み換えについては、食物の安定供給という大義と、食の安全に代表されるバイオセーフティが議論の中心になっているけれど、結局は、神のように「支配してみたい」という欲望が根本にあって離れないのだということだ。その「支配」が悪いことに使われれば、その技術の開発者はマッドサイエンティストであろうが、もし、良いとされることに使われるのならば・・・・・。

もっとも心に響いたのは、主人公の古くからの仲間の台詞。
シンバイオシス(共生)という概念を持ち出して。
「接近し、相関関係を持つ生きものは、対立しているように見えるものでも、補完しあってもいると思う。」

わたしはこの言葉が、もっとも重要なテーマだと思う。


:::::::::

人間関係でもそうだよね。苦手な人がいても、案外その人と自分は何かの補完関係にあるのかも。

GMO(上)

GMO(下)


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