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2005.05.31

「トリアングル」俵万智 (スキャンダル編)

俵万智による初の小説として紹介されることも多いんだけど、正確にいうと、歌物語ということらしい。
「伊勢物語」とか「土佐日記」とか、古典の授業で少しだけならった、アレです。
土佐日記は、紀貫之が女性になりすまして書いたもので、一応創作の日記。そのときの心情を託した和歌がところどころに記されているものだそうです。

「トリアングル」も、小説の中に、突然主人公の想いや状況をかさねた短歌が出てくる。
そして、一応、物語は創作である、らしい。

主人公は女性フリーライター。
釧路湿原を取材したことがある。そのときに出会ったMとの恋は、パリで成就する。しかしMには妻子がいる。子供は当時10歳。
途中、年下の青年と恋に落ちたりしつつも、Mとの関係は続き、8年が過ぎていく。主人公は、不倫は不倫のままでいいから、せめてMの子供を産みたいと思って小説は終わる。


1997年、「トリアングル」より7年前に出された俵万智の歌集「チョコレート革命」を思い出す。
彼女は、その歌集に「湿原の時間」という項目で、釧路湿原についての短歌を発表している。また、彼女が晴れ女であることも書いている。不倫の恋をしていることも匂わせている。どうやら相手には10歳の子供がいることも短歌に現れている。

そして2004年。俵万智は、結婚しないまま、父親の名前を明かさないまま、子供を産んだ。

「トリアングル」はほんのちょっと設定をかえただけで、創作というよりも俵万智自身の物語だ、私小説だ、と断言することはできない。私は俵万智さんを知らない。
けれども、実際の彼女とかぶせて読まずにはいられないし、そう仕向けられている。
スキャンダラスな本だと思うし、そう思って読むからこそ面白い部分も多い。

明日は、「トリアングル」の歌物語という試みについて書きたいと思う。

「トリアングル」俵万智
「チョコレート革命」俵万智

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