映画「硫黄島からの手紙」
昨年12月に「硫黄島からの手紙」を観た。
「父親たちの星条旗」についてブログを書いたから、
「硫黄島からの手紙」についても書かなければならないと思っていた。
しかし、あまりにも受けた衝撃が大きくて、
パソコンを立ち上げても何も書けない日が続いた。
今日、やっと「硫黄島からの手紙」について更新するけれど、
やっぱり何も書けないと思っている。
「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」
こんなにも正面から戦争の愚かさも恐ろしさも
突きつけてくる映画はなかった。
戦争映画は苦手だ。
何本か観ているから、そう思う。
映画館を出た後、
残虐なシーンが続く映画の後には
「戦争って嫌だねー!」と気持ち悪がり、
最愛の人が死んでしまう映画の後には
「かわいそうだったねー」と号泣してしまう。
けれど「硫黄島」2部作は、もっとたんたんと、
ドキュメンタリーのような視点で戦争を捉えた。
「父親たちの星条旗」では、
兵士の命よりも財政赤字を気にするホワイトハウスや、
無残に死んでいくアメリカ兵や、
戦争が終わって何年たっても戦火の記憶に苦しめられる英雄を
象徴的なシーンを随所に盛り込んで、
じっくりとみせていった。
「硫黄島からの手紙」では、
個人的な友情が、国家理念のために踏み潰される様子や、
兵士は敵と戦うだけでなく、
正気を保つために自分とも戦うのだということを教えてくれた。
惨殺されるアメリカ人捕虜。
手当てを受けるアメリカ人捕虜。
同じく
惨殺される日本人捕虜。
手当てを受ける日本人捕虜。
戦場で人の命は軽んじられる。
正気を保てないからだ。
映画館を出て思ったことは、
「残酷だったねー」でも「悲しかったねー」でもなく、
戦争はとんでもないことだ、
愚かしいことだ、
戦争をなくすために私は何が出来るのか、
という問いだった。
なぜ戦争がおきるのか。
宗教戦争だとか、開放のための戦争だとか、
戦争にもいろいろあるが、
基本は、戦争は富の奪い合いだ。
領地だったり、特産物だったり、資源だったり。
そこに聞こえのいい名目をつけ
宗教的な熱狂や、理念的正当性であおったりする。
しかし基本は、流血を伴う経済行為なのだと思う。
生きていくためだったり、
もっと豊かになるためだったり。
ここから私は迷う。
経済活動そのものを否定せず、
共産主義的発想におちいらず、
血を流す経済行為<戦争>を止める方法について。
イラクで死んだ米兵は、2006年末で3000人を超えたそうだ。
その数はNYK同時テロで亡くなった犠牲者を上回っている。
死んだイラク人は何人いるのだろう。
これは「尊い犠牲」なんですか。
アメリカは兵士の誰かが星条旗を立てかける写真を待っているのですか。
イラクだけではない。
世界の冨が不均衡な以上、戦争の火種をいたるところにある。
冨が集中してる日本において、
戦争をくいとめる方法はなんだろう。
袋小路だ、行き止まりだ、
思考が進まないのだけれど、
考えることはやめちゃいけない。
戦争をとめるのは政治でしかないと思う。
政治で解決できなくなると、武力が出てくる。
武力を使わなくてもすむように、
考えることはやめちゃいけない。
たとえ私でも。
追記:
重苦しくて、ひとりよがりな更新になってしまうけど、
どうにもこうにも「硫黄島」について書かないと、
前に進めないっていう重圧が・・・。
大河ドラマ「風林火山」第1話にまで眉をひそめてしまうのは、
きっと戦争を嫌悪する気持ちが
ものすごく高まっているからだと思う。
そして高まったまんまでいたいと思う。



Comments
戦争をとめるのは政治でしかないかもしれないけれど、
その政治を司るのは政治家で、
その政治家を選ぶのは私達国民一人一人ですよね。
国民一人一人が高い理念を持っていれば、
当然のことながら政治家の質もあがり
それは国家の考え方になると思う。
だから、Nolly Changさんのように考えなくちゃいけないと思う。私も。
この国の方向性は、実は私達一人一人の手によってつくられているはず。
映画を見て、一緒にじっくり考えてみたいです。
Posted by: るん♪ | 2007.01.09 at 09:59 PM
るん♪さん、是非見てください~。
私は本当にこの映画のことが頭から離れないです。
アメリカ人はどう思ってるのかな。
アメリカ人が戦い、多くの犠牲をだして制した硫黄島、その硫黄島を守った日本兵は、かつてアメリカ人の友人だったり、妊娠中の妻を残してきた兵士だったりするわけです。
そして今、アメリカが戦争をしているイラク。そこにもかつて友人だった兵士や、子供のいる兵士がいるわけです。
などなど、もうエンドレス。
Posted by: Nolly Chang | 2007.01.10 at 12:47 AM
コメントありがとうございました。
イーストウッドの映画は、観終わった後ドーンと突き落とされる作品が多いですが、これはまた別格でした。
観た人全員に、硫黄島からの手紙は届いたと思います。
TBさせていただきました。
Posted by: ノラネコ | 2007.01.11 at 12:10 AM
ノラネコさん、ご訪問ありがとうございます~。
本当に、クリントイーストウッドからの「手紙」が胸に届いて、つきささっています。
ノラネコさんの、お酒と映画のマリアージュ、面白いですね。
これからも読みにいきます。
よろしくお願いします。
Posted by: Nolly Chang | 2007.01.11 at 08:39 PM
時として「宗教的な熱狂」や「理念的正当性」って甘い誘惑ですよね。
人は誰かと繋がりたい(熱狂)と思っているし、自分は正しい(正当性)と思いたい。
「尊い犠牲」や「英雄」といった偶像を欲しがる。
戦争の悲惨などは忘れてしまって。
この誘惑の中で「正気を保つ」のが大切なことなんでしょうね。
Nolly Changさんの想いが伝わってきました。
「父親たちの星条旗」もぜひ見ます。
Posted by: コウジ | 2007.08.05 at 09:32 AM
コウジさん、こんばんは。
いつもブログ読ませてもらっています。
「正気を保つ」って難しいんだなぁと思いましたね。栗林中将や、西大佐は最後まで正気でしたね。しかし彼らの個人的なアメリカへの親愛は、国家の前で踏みにじられていました。そこがとても悲しかった。コウジさんも書いていた犬を射殺する憲兵のシーンは、正気を失った人々の象徴でしたね。
Posted by: Nolly Chang | 2007.08.07 at 10:05 PM