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2007.06.10

本「対岸の彼女」 角田光代

2005年 本屋大賞に輝いた本である。
角田光代「対岸の彼女」

アマゾンの商品説明によれば・・・


30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。立場が違うということは、時に女同士を決裂させる。女の人を区別するのは、女の人だ。性格も生活環境も全く違う2人の女性の友情は成立するのか…?


とある。

私もそのような書評や紹介を読んでいて、
「対岸の彼女」は既婚・子持ちの勝ち犬女と、独身キャリアの負け犬女の
対立と、そして心の融解を描いた作品なのかなぁと思ってました。

しかし!!

読んでみて、それはずいぶん違うと思いましたよ。

だれだ、こんな紹介文書いたの??

そりゃあ当時、酒井順子の「負け犬の遠吠え」がベストセラーになり、
女性を負け犬・勝ち犬でくくることが大流行してましたよ。
だから出版社がその流れに便乗したんだと思うけど、
そんな安易な便乗いらないよ!
負け犬だの勝ち犬だのって言葉に頼らなくても、
この本、「いい本だよ」ってもっと胸はっていいですもん!!!

ええ、いい本でした。
思わず落涙。
角田光代の本で泣いたの初めてかも。

感動的なヒューマンストーリーではないけどね。

前置きが長くなったがこの本は、
人が社会で生きていくための本質がテーマで、
いくら心を閉ざしても、やはり人と関わらなければ生きていけない、
そして誰とどのように関わっていくか、
ほんの小さな一歩をどう踏み出していくか、の話だ。


独身のキャリアウーマン(女社長)というよりも、
やり手で社交的に見える女、葵。
しかし彼女にはイジメられた過去と、
たったひとりの運命的な友人との刹那の時間がある。

既婚・子持ちの勝ち犬女というよりも、
内向的で地味な女、小夜子。
彼女はママ友達付き合いや、姑との関係に悩み、
学生時代も友人関係に恵まれなかった。

2人の女は、表面上の性格は違うけれど、
ともに人間関係において、
疎外感、孤独感、挫折感を味わっている。
臆病な気持ちを持っている。


そんな2人が出会い、
それぞれ過去の想いや現在の問題に憂鬱を感じながらも、
お互いに助け合っていく物語だ。


人は、他者と関わっていかなくては生きていけない。
それが社会だ。

「それが社会なんだから仕方ないよね・・。」と、
つまらぬ人間関係に身を投じ、我慢している人もいるだろう。

けれど、「あなたとともに頑張りたい」と、
積極的に他者と関わることが出来たらどんなに素敵だろう。

この本はそんな話だ。

主人公2人、とくに、女社長・葵の過去がせつないだけに、
葵と小夜子が、互いをフォローしあい、
相手を必要としていく過程に、つい感動てしまう。

ちょっと話は邪推になるが、
角田光代も大人になったなぁ・・・と思った。
昔の彼女の小説は、
いい年した大人が現実逃避的に東南アジアを放浪したり、
東京にいてもフラフラと無為に過ごしていたり、
社会の中で生きていくことや
他者との関わりを、あえて避けている人間ばかり出てきた。
フリーター小説、なんて呼ばれてた。

そんな角田光代が、社会に自ら出て行く女性を描く。

この数年で彼女自身の成長もあったのかもしれない・・・・
なーんてえらそうに考えたりしました。
スンマセン。


「対岸の彼女」 角田光代


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過去記事:
「角田光代が嫌い(だった)」
「太陽と毒ぐも」角田光代

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Comments

なるほど~そういう展開になるんですね。
読んでみたくなりました。
たしかに女性の敵は女性って部分、ありますけどね。
柔道の谷亮子さんが子どもを置いて遠征に行くことで
いろいろ言うのも女性だし・・
昔アグネス論争なんてありましたしね(笑)。

Posted by: kako | 2007.06.11 at 10:01 PM

kakoさん、こんばんわ。
たしかに女性の敵は女性、という一面は世の中ありますね。でも専業主婦の味方は専業主婦で、ワーキングマザーの味方は常にワーキングマザーか、というとそれも違う。この本は「女の肩書き」から離れて、信頼を寄せ合う人間関係の構築がテーマのように思います。なかなかいいですよ。

Posted by: Nolly Chang | 2007.06.16 at 12:12 AM

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