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2009.11.29

映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」

昨日、松たか子さんが、「山路ふみ子女優賞」を受賞された。
映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」の演技が評価されたとのことだが、至極納得がいく。

受賞の言葉の中で、松たか子さんが語っている。


「(浅野の役は)ダメ夫と言われてきましたが、最高の夫だと思う。
あの妻に出会ったほうが大変だったのでは」。


このコメントがすべてだなぁと思う。
松たか子さんは、妻・さちこの役を本当によくわかっているなぁと。

映画は、太宰治自身らしい小説家(浅野忠信)が、ダメな夫を演じる。
小説は素晴らしいが、酒ばかり飲み、女にだらしなく、金にもだらしない。
妻のさちこと息子にお金を渡さないで苦労かけさせいる。

さちこ(松たか子)はそれでも献身的に夫を愛し、
夫を助け、ひたすら待つ女・・・・のように見える。

しかし映画をみているとどうもそうではない。


松たか子演じるさち子は、あまりにもまっさらで、
計算していないのだろうが、とんでもなく悪魔的だ。
無意識でしているのか、相手をだめにしていく力がある。
翻弄する魔力を持っている。

真っ白すぎる強い光に、男たちは憧れ、惹かれる。
そしてある者は弾かれ、逃げ出し、
そしてまた吸い寄せられる者がいる。
またある者は、その光のせいでより濃い影となろうとする。

影になってしまったのが浅野忠信演じる小説家だと言えまいか。


この映画を観終わったあとに感じるのは、美しい夫婦愛だとか、
けなげな妻だとかいう美談ではなくて、

悪魔のように清くて美しい妻にとらわれ、
より濃い影を落としていく男の悲哀であり、
いずれ男がもう一度自殺をはかっても、
おそらく恐ろしいほどの生命力で生きていき、
男を翻弄させるであろう女の魔性だった。


松たか子さんのコメントは、
この映画の本当のテーマである、女の魔性をよくよく理解している発言だと思う。

そして魔性の女を色気たっぷりにも計算高くも演じず、
天然の性質のごとく演じたところに、松たか子さんの素晴らしい演技があった。


ブラボーです!


ニュース:松たか子さん「山路ふみ子賞」受賞


「ヴィヨンの妻」

Photo

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2009.11.22

本「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ

この本、ミステリーと紹介されているのに、
物語の99%はラブストーリーである。

男と女が出会って、ときめいて、うかれて・・・
新しい出会いに心揺れて・・・

悪くはないんですが、まあなんのことはないラブ・ストーリー。

この本以外にもっと心揺さぶられるようなラブ・ストーリーは
いろいろあるよな~~と思う。


それが、油断でした。


ラストにさしかかり、
エンディングだなぁというところで、

え?と思い、


ラスト2ページぐらいで、


えええ?と思い、


ラスト2行で、

えええーーーー!!!!!!!
どうゆうことよ!!!

と、どよめいてしまう。


ここまで99%ラブ・ストーリーだったじゃないのよ、
よくある話だったじゃないのよ。
(ちょっとつまんないぐらいの!)


それがラストの1%で、完全にくつがえされてしまう。
ミステリー小説という肩書きは正しかったと思い知る。


私はすぐにページをさかのぼって、
物語を検証しなおす。

そして解読作業を始める。
かなり手間のかかる作業となる。

すると見えてきたのは・・・
ミステリーを通り越してホラーのような物語。

タイトル「イニシエーション・ラブ」に怖さすら感じました。

おすすめします。


Photo


文庫もでています。

こちらは巻末にくわしい解説がついてるみたいですよ。

Photo_2


「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ著

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2009.11.03

マイケル・ジャクソン 「THIS IS IT」

週末の夜、ダンナに子供をまかせて、映画館に駆け込んだ。
マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」を観るためだ。

週末のレイト・ショー、
400席がほぼ満席という盛況ぶり。

みんなマイケル・ジャクソンのファンなのか。
それともひとつの時代を自分の目で記録するために来ているのか。


私について言えば、
マイケル・ジャクソンの特別にファンではなかったのだが、
J-WAVEでパーソナリティも務めている俳優の別所哲也さんが絶賛しているので、観にやってきた。

俳優としてミュージカルの舞台で活躍されている別所さんに、
マイケル・ジャクソンのリハーサルがどのように映ったのか。

☆☆☆

ロンドンで今年7月に行われるはずだったコンサートのリハーサル映像は、ダンサーのオーディションから始まっていく。

みな、マイケル・ジャクソンに憧れて世界中からやってきた。

演奏・コーラス・ダンサーは最高のパフォーマーで、
視覚効果担当、衣装担当、映像担当も一流スタッフばかり。

マイケルのバックで流す映像は、まるで映画の撮影のように
手をかけて入念に撮影される。

リハーサルは何度も行われる。


私はリハーサルの現場に足を踏み入れた事はないが、
とても楽しそうだ。

ダンサーやスタッフがマイケルのパフォーマンスを楽しみ、
大喜びしている。
みんなマイケル・ジャクソンが大好きだ。

同じステージに立ったり、ステージ作りに協力できることに感激している。

マイケル・ジャクソンもそれに応えて、
ウォーミング・アップだから声量をしぼって歌うつもりが
しっかり歌ってしまったりする。
みんなが喜び、のせてくるので、つい歌いたくなってしまうらしい。

ダンサーや演奏者を励まし、彼らにも花をもたせる。
「ここは君が輝くときだ、僕がそばにいるから大丈夫」と。


リハーサルは厳しくもあり、なごやかでもある。
みんなが最高を求めている。
最高を引き出そうとしている。
いいものを作ろうとしている。
喜んでやっている。
だから雰囲気がいいのだ。


何かを創造したり、製作しようとするにあたって、
きっとこの状況は一番の理想なのだと思う。

マイケル・ジャクソンがその頂点にいる。
彼こそスターなのだ。


5年ぐらい前にテレビで「マイケル・ジャクソンの真実」という番組をみた。
マイケル・ジャクソンの奇行をあぶりだした番組だった。
整形疑惑、途方もない金遣いの荒さと借金、
ネバーランドの内側、少年への猥褻疑惑、などなど。

確かにマイケル・ジャクソンは一般的な人と比べると、
かなり変わったひとなのかもしれない。
けれど、彼は一般の人ではない。
幼少のころからスターとして生きてきた。
新しいダンス、新しい試みを世界に発信してきた。
型にとらわれず、より刺激的で美しく楽しく、素晴らしいものをみせてきた。


世の中には情報があふれている。
自分は何を選ぶのかが問われている。


今年6月25日、ロンドン公演直前に亡くなったマイケル・ジャクソン。

彼について、私が選びとった情報は、
「マイケル・ジャクソンの真実」ではなく、
記録映像「THIS IS IT」だ。


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