映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」
昨日、松たか子さんが、「山路ふみ子女優賞」を受賞された。
映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」の演技が評価されたとのことだが、至極納得がいく。
受賞の言葉の中で、松たか子さんが語っている。
「(浅野の役は)ダメ夫と言われてきましたが、最高の夫だと思う。
あの妻に出会ったほうが大変だったのでは」。
このコメントがすべてだなぁと思う。
松たか子さんは、妻・さちこの役を本当によくわかっているなぁと。
映画は、太宰治自身らしい小説家(浅野忠信)が、ダメな夫を演じる。
小説は素晴らしいが、酒ばかり飲み、女にだらしなく、金にもだらしない。
妻のさちこと息子にお金を渡さないで苦労かけさせいる。
さちこ(松たか子)はそれでも献身的に夫を愛し、
夫を助け、ひたすら待つ女・・・・のように見える。
しかし映画をみているとどうもそうではない。
松たか子演じるさち子は、あまりにもまっさらで、
計算していないのだろうが、とんでもなく悪魔的だ。
無意識でしているのか、相手をだめにしていく力がある。
翻弄する魔力を持っている。
真っ白すぎる強い光に、男たちは憧れ、惹かれる。
そしてある者は弾かれ、逃げ出し、
そしてまた吸い寄せられる者がいる。
またある者は、その光のせいでより濃い影となろうとする。
影になってしまったのが浅野忠信演じる小説家だと言えまいか。
この映画を観終わったあとに感じるのは、美しい夫婦愛だとか、
けなげな妻だとかいう美談ではなくて、
悪魔のように清くて美しい妻にとらわれ、
より濃い影を落としていく男の悲哀であり、
いずれ男がもう一度自殺をはかっても、
おそらく恐ろしいほどの生命力で生きていき、
男を翻弄させるであろう女の魔性だった。
松たか子さんのコメントは、
この映画の本当のテーマである、女の魔性をよくよく理解している発言だと思う。
そして魔性の女を色気たっぷりにも計算高くも演じず、
天然の性質のごとく演じたところに、松たか子さんの素晴らしい演技があった。
ブラボーです!







Recent Comments